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際限なき欲望、本屋の場合

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本屋が好きだ。

特に書いたい本がなくても、つい本屋をうろついてしまう。

僕の子供の頃、本屋と言えば個人経営の本屋しかなかった。

立ち読みをしていると、はたきで店主が掃除をしだすような、サザエさんでカツオが立ち読みをしているシーンで見たことがあるような、そんな小さな本屋しかなかった。

大人になって、今の街に引っ越してきてまず一番に気に入った点は、駅前に比較的大きな「読む読む」という本屋があったことだ。

その頃、駅前の「読む読む」が一番大きかったけど、少し足を伸ばすとそれ以外にも4軒ほど本屋があった。

本を探すときは、いくつかの本屋を自転車で回った。

そのうち、「読む読む」よりもっと駅の近くに「ツタヤ」ができた。

ツタヤには、はたきを持ったオジサンはいなかったから、嬉しかった。

田舎の小さな本屋に比べれば、何倍も大きいと思った。

慣れとはおそろしいもので、最初は大きな本屋だと喜んだ駅前の「読む読む」も、ツタヤができた頃には小さな本屋だと思うようになった。

子供の頃、家の前の道路がものすごく広く見えたのに、成長するとそれが単なる路地だったことを知るようなものだ。

そしてツタヤができて数年後には、「読む読む」は潰れてしまった。

その後、4軒あった本屋は次々と潰れてしまった。

アマゾンが幅を利かせ始め、実店舗はそれに対抗するため規模をどんどん大きくしていった。

規模で勝てない個人経営の本屋は廃業するしかなかったのだ。

そのツタヤも、隣の町のショッピングモールの中にできた本屋に行くようになった頃には、さして大きな本屋だとは思なくなった。

そしてそのショッピングモールの本屋も、電車で15分ほどのターミナル駅のビルの中の本屋を知った後は、さして大きいとは思なくなった。

「読む読む」を追いやった駅前のツタヤはいつの間にか撤退してしまい、携帯ショップと百円ショップになった。

今、一番大きな本屋だと思って気に入っているのは、デパートのワンフロアがそのまま本屋になった店だ。

知らなければそれで満足できるのに、一度それ以上のものを知ってしまうと、急に今までのものがツマラナク感じる。

大人になると人生がツマラナクなる原因はこんなところにあるんだろう。

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