先日、とは言ってももう10日以上前ですが、鎌倉の鶴岡八幡宮に初詣に行ってきました。
なぜ鶴岡八幡宮を選んだかというと、当然昨年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の影響だったりします。
ドラマは室内撮影ばかりだったため、大河ではなく小川だとか陰口も聞かれましたが、ボクは毎回面白く視聴しました。
たしかにこれは「渡る世間は鬼ばかり 鎌倉時代編」だなと思わせる節はありましたが…
それはともかく、実朝が暗殺された鶴岡八幡宮の階段と大銀杏を見ておかなければと、出不精に鞭打って出かけたのでした。
まるで岩山のようですが、これが大銀杏です。
この木陰に公暁が身を潜めていたのかなどと当時を思いやるのでした。
鶴岡八幡宮で参拝を済ませたあとは、すぐ近くにある寿福寺を目指して移動です。
こちらのお寺には実朝と北条政子のお墓があるというので散歩開始です。
鶴岡八幡宮や小町通りは平日というのにかなりの人混みでしたが、一歩道路をはずれるとほとんど人は通っていません。
お墓に続く細い路地の生垣の向こうの古家には人が住んでいるのかどうかさえ分かりません。
「あ、リス」
見上げると電線をリスが走って、古家の敷地に消えていきました。
その日は比較的暖かい日でしたが、実朝と政子のお墓に続く道は日も差さず、しんと静まり返っています。
リスが消えていった方向に目をやっていると、背後の生垣がふいにガサガサと揺れ動きました。
そして一陣の冷たい風が吹き抜けます。
あたりに誰も人はいないのですが、何かの気配を感じます。
じっとこちらを見つめているような…
すみません、最後は話を盛りました。
ですが生垣の一部だけがガサガサと揺れ、冷たい風が通り抜けていったのは本当です。
少し不気味なその様は、そうたとえたくなってしまいます。
もしかして本当に古都鎌倉は、何かの気配に満ち満ちているのかもしれません。
呑気に小町通りで食べ歩きしている現代人を、物陰からじっと見つめているのかもしれません。
実朝と政子のお墓へ向かって歩いていたのですが、足の疲れと、一種異様な雰囲気に気押されてそのまま引き返しました。
寿福寺の山門で振り返り手を合わせ、そして呑気な現代人に戻って、小町通りでアップルパイを買って帰ったのでした。