小学校のグラウンドで、小学生たちが聞いたこともない謎の音頭を踊ってる。
「大きく手を振って、ハイ、チョチョンがチョン」
教師のかけ声に合わせて、子供たちが熱心に謎の音頭を踊ってる。
令和のこの時代にも、「チョチョンがチョン」だ。
なぜ残暑厳しいなか、全員がグラウンドに出て訳のわからない音頭を踊らなければいけないのか。
かけ声だけは現代風で「いいね、いいね!」
一糸乱れず、小学生たちのかわいい声がグラウンドに響き渡る。
謎だ。そしてシュールだ。
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アントニオ猪木が死んでしまった。
子供のころ好きだったスターが次々とこの世を去っている。
あの頃のプロレスと、それを取り巻くファンたちはのどかなものだった。
アントニオ猪木の必殺技、卍(まんじ)固めは本当に痛いのか、友達と技をかけ合いながら検証した。
猪木のライバルであるジャイアント馬場は、当時の小学生たちから見てもガリガリでとても強そうには見えなかったけど、2mの高身長から繰り出すチョップはスローに見えても遠心力がきいて破壊力があるのだと、友達の額をチョップしながら想像したものだ。
ただ馬場の十六文キックに関してだけは、なぜ相手レスラーが、足を上げて待っている馬場のもとに走っていくのか、なぜ足が大きいというだけで相手がノックダウンするほど破壊力があるのか、どうしても合点できなかったけど、とにかく細かいことは想像力で補って夢中になっていた。
まさに昭和は遠くになりにけり…
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高麗の曼殊沙華を見てきた。
曼殊沙華というと、お墓に咲いている花というイメージがあり、好きな花とは言えない。
川沿いの公園の中は風もなく、むっしりとしていた。
ほの暗い林の地面を覆いつくすように曼殊沙華が咲いている。
小さな炎のような花は、亡くなった人が現世に残した未練のようにも見えた。