ずっと水に潜っていて、やっとポッカリと水面に顔を出したかのような気分だった。
先週、近くに行ったついでに国立(くにたち)へ寄った。
並木の桜は満開で、道ゆく人もうきうきと楽しそうだった。
なんとなくお祭りみたいで、やっと僕も深く息を吸い込むことができたような気分になった。
夕方、用事があって田舎の父親に電話をかけた。
父親は留守で、父親の再婚相手のマサコさんが電話に出た。
マサコさんが言うに、父はこのひと冬ずっと炬燵にもぐりこんで寝ていたそうだ。
側から見てどうにかなってしまうんじゃないかと心配になるくらい、炬燵から出なかったらしい。
暖かくなった今日はやっと炬燵から出て、初めて畑に行ったという。
父も冬眠から覚めたか。