亡くなった母親は加山雄三が好きでしたが、ボクはなんとなく苦手だと感じていました。
「ちい散歩」の後に抜擢された時は、番組にいかにも合わない感じがしました。
「君は何歳だい?こっちへおいで。写真を一緒にとってあげよう。サインも欲しいかい?」
子供「おじさん誰?サインなんていらないよ!」
スタッフ「こらこら、加山さんのサインなんて滅多にもらえないんだからもらっておきなさい」
そんな会話が勝手に思い浮かんでしまいます。
案の定、番組は短期間で終わりましたが、
「何もこんな暑い日に歩かなくてもいいだろう?夏の間は過去の名場面でも流しておきなさいよ」
とでも言われたんじゃないのかな、と勝手な想像をしていたくらいです。
ですが、そんな加山さんを見直したことがありました。
(見直したなんて言い方、失礼ですが)
それは毎年恒例の24時間テレビ、病気から回復された加山さんを前にして、息子さんが手紙を読み上げた時のことです。
息子さんは張り切って手紙を読み上げました。
スタッフは加山さんの涙を期待したと思います。24時間テレビですしね。
にもかかわらず、手紙を最後まで聞いた加山さんの反応は・・・
「上出来!」とニッコリ息子にサムアップして終わりです。
俺を泣かそうとなかなか上手に書けたじゃないかとでも言いたげな「上出来」でした。
なんだよ親父!と息子さんは怒っていましたね。スタッフも肩透かしだったでしょう。
でも僕は、やっぱり加山雄三だな、と見直しました。
弱気な涙なんか似合わない。太陽のように、スターはいつまでもスターでいるべきなんだ。
駆け出しのテレビスタッフの思う通りになんかなるものか!そんな気概も感じました。
だけど、お母さん、お母さんの知っている加山雄三より、だいぶん太ってはしまったよ。